2013年01月26日

イブのお葬式 1


人気ブログランキングへ

 イブが突然に居なくなって、心の中にはポッカリと穴が開いた。
冷たい風が穴を行ったり来たりしている。
家族の誰もがイブの話しをしなかった。
頭の片方でジュクジュクと湿った想い、もう片方は
パリパリと乾いた想いで二分されていた。
何処かで区切りを付けなくては・・・。
獣医師に、イブの遺体と共に渡された小冊子が無造作に
床の上にいつまでも転がっている。
『ペットロスシンドロームについて』
一連の流れを思い返すと、あの獣医師がこの冊子を
渡した事が腹立たしくも滑稽である。
私も妻も読もうとしない。
冊子のタイトルだけが、床に放られた一枚の絵のようにそこにある。
鬱積した想いだけが日々の暮らしを覆っていた。
これが『ペットロスシンドローム』なのであろう。
こう自覚した瞬間、頭の片隅を一陣の風が通り過ぎた気がした。
「イブのお葬式をやろう。派手に送って区切りを付けよう」
妻にこう告げると、怪訝そうな顔をしながら
「え〜?どうやって?」と聞く。
「祭壇を作って、遺影を飾るのさ。綺麗な額に入れて」
「家族だけでやるんだよね」
「いやいや。イブを可愛がってくれた人を皆呼ぶ」
「結局は呑みたいだけ?」
「違うって。いつまでもウジウジしていても仕方がないから、
 いっぱい残念がって、イブの事をいっぱい喋りたいんだ」
「まぁ、言い出したら必ずやるんでしょうから・・・」

IMG_1867.JPG
「イブ、大丈夫?苦しくない?」

にほんブログ村 犬ブログ ラブラドールへ
にほんブログ村



posted by アズキパパ at 14:55| Comment(6) | TrackBack(0) | ペット | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年01月02日

別離(わかれ)は突然に・・・5


人気ブログランキングへ
あけましておめでとうございます。

イブが帰ってきた。
車の後部座席を折り畳んだ上に横たえている。
4肢をピンと伸ばしたまま動かない。
無言のまま運転席から降りた妻に掛ける言葉が見つからない。
言葉を交わす事も無く、二人で静かに車から降ろした。
毛布の上に寝せられたイブは、硬い硬い剥製のようだった。
二歳の娘は、私の腕にしがみついている。
「イブ動かないね。死んじゃったの?」
死という概念をどう持ち合わせていたのかは不明だが
震える声で聞いてきた。
「うん・・・死んじゃった」
力無くオウム返しをするしかなかった。
野球の練習から帰って来たばかりの息子は目に涙をいっぱいに溜めている。
「イブにもう会えないの?ねぇ、会えないの?」
「そうだね、残念だね。イブを埋めてあげる穴を掘るから手伝って」
ヒデヨシが死んだ時も息子と二人で穴を掘った。
ヒデヨシの時は小さな穴で良かったが、イブの穴は
大きく掘らなければならない。
「二人で穴を掘るから、蝋燭と線香を用意してきて」
「うん・・・」
後になって悔んだのだが、一人でイブの最後を看取る事になった妻に
ねぎらいの言葉を掛けるでもなく、事務的な言葉になってしまった。
良くなる事を信じて病院に連れて行ったのに、緊急手術、死という場面に
一人で立ち会う事になってしまった事はどんなに心細かっただろう。

にほんブログ村 犬ブログ ラブラドールへ
にほんブログ村




posted by アズキパパ at 10:13| Comment(6) | TrackBack(0) | ペット | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。