2013年05月15日

イブのお葬式 ラスト


人気ブログランキングへ

穏やかに晴れた秋の日に、イブの葬式が行われた。
私達家族と友人夫婦達は礼服とまではいかないまでも
シックな装いで、一見真面目に厳かな雰囲気を必死に醸して
葬式は始まった。
IMG_1871.JPG
祭壇には遺影と蝋燭、線香も用意している。
喪主である私が蝋燭に火を灯すと、次々と線香を焚く。
私の幼稚園から高校まで同じ学校に通った友人S君は、
仏壇に向かってから、おもむろにジャケットのポケットから数珠を
取りだした。ん?、ピンクの数珠?
良く見ると子供のおもちゃのネックレスだった。
こいつはこの辺がぬかりない。
「プププ」とあちこちから笑いが漏れる。
一通り焼香が終わったので、喪主である私が挨拶をした。
「え〜、今日は秋晴れの爽やかな良き日に、我が娘、イブの葬儀に参列下さいまして
有り難うございました。早速ではありますが乾杯をしたいと思います。
今日は在りし日のイブを思い出して賑やかに送りたいと思います。
それでは、イブの遺影に向かってイエ〜イ!」
『イエ〜イ』
妻が隣で「バカ」と呟いた。

祭壇には会費が仏祝儀袋に入れられて積まされ、黒いリボンが巻かれた
骨のおやつも飾られた。皆さん、半分パロディだと解っている。
法要は延々と続けられ、終わった頃には三日月が高くなっていた。
イブの死を完全に乗り越えられた訳ではないが、
諦めと受け入れとで少しだけ胸の重石が小さくなった気がした。
妻はこの後、9年間に渡って犬を飼う事が出来なかった。
9年といえば、イブが生きた時間である。
イブの死を乗り越えるのに、イブが生きた分の時間を要したことになる。
イブの死から9年経って、訳ありの黒ラブが我が家にやってきたのである。
犬を飼う事を踏み切れない妻はこの時、大病を患い手術をして入院をしていた。
きっと退院後の妻の慰めにもなると考えて、飼い主を亡くしたアズキを
引き取る事を強引に決めた。

にほんブログ村 犬ブログ ラブラドールへ
にほんブログ村



posted by アズキパパ at 17:53| Comment(2) | TrackBack(0) | ペット | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。