2013年08月23日

星野富弘さん 2


人気ブログランキングへ

 研修は社訓の唱和から始まって、夕方のランニングで
終了するメニューだった。
周りの人たちの希望に満ちた顔の中で、一人不純物が混じり
埋もれて行き、助けを求める自分を自覚していた。
 研修が始まって6日目が土曜日だった。
全員に、全国にある営業所への赴任先が発表された。
私は東京営業所を希望していたのだが、命ぜられたのは
本社勤務であった。
その時は本社勤務が意味するものは皆目判らなかったが
周りから羨望の目が向けられた事は感じられた。
しかし、そのことが更に私の胸に住み着いた鉛のような物の
重さを増していった。
 研修が始まってから最初の日曜日、研修生たちは
スキップでもするように、名古屋の街へと繰り出していった。
私はそんな気分にはなれず、一人残った部屋の中で
悶々とした気分と向き合っていた。
重苦しい時間を過ごした数時間後、
意を決して、研修の講師がいる部屋のドアをノックした。
「申し訳ありませんが、辞めさせてください」
「はぁ?入社から1週間だぞ」
「・・・」
「理由は何?」
「自分がこの会社に入る資格が無いと気付いたからです」
「判るように説明して」
私は、1週間前の駅に着いてからの気持ちからを正直に説明をした。
「まだ子供だから、その不安も判らんでもないが、せめて1年頑張ったらどうだ」
「そのようにも思いましたが、決意を持ってここに来ました」
「貴方は嫌で辞めれば済むが、こんな辞め方では学校へも影響が出るよ」
しまった。考えもしなかった。
今後、この会社から求人が来なくなる可能性もあるのか・・・。
「・・・」
言葉は出ない。
が、自分の中では自責の言葉ばかりが渦巻いていた。
(どうしようもないクソガキだ)

にほんブログ村 犬ブログ ラブラドールへ
にほんブログ村

posted by アズキパパ at 10:12| Comment(4) | TrackBack(0) | ペット | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年08月22日

星野富弘さん 1


人気ブログランキングへ

 私が大きな影響を受けた人達についてお話ししようと思う。
私は高校を卒業後、愛知県刈谷市にある大きな家具メーカーに
就職をした。何故、ここに就職をしようと決めたかと言うと
学校に来ていた求人の中で、最も給料が高かったからだ。
 入社式に臨む為、上野まで寝台特急に乗って、新幹線に乗り継いで名古屋に降り、
在来線に乗って刈谷駅に降りると、同じ会社に入社する人達と思われる
若者で駅は溢れていた。
「俺、この会社に入れたら死んでもええでと思ってたわ〜」
こんなことを言いながら改札を出て行く人もいる。
私の中に重苦しいものがトンと入ってきた。
駅からタクシーに乗って会社名を言えば、料金の支払いは無かった。
会社に着いて入社手続きを終えると、二階の大きな講堂に集められた。
見渡すと、100人を超す新入社員がいた。
入社後の研修スケジュールの説明が終わると、端から自己紹介を
するように促された。
出身地と出身校も紹介するようにと求められた。
早稲田、駒沢、明治と聞いた事がある大学の出身者ばかりだった。
高卒は私を含めて数人しかいなかった。
駅で「死んでもええで」と言っていた人は早稲田出身だった。
私の中の重苦しさは更に重さを増していった。
 説明が一通り終わると、研修期間の一ヶ月間宿泊する
旅館へと移動させられた。
各部屋に3人位づつに割り振りされて、私は大卒の方たちと
同じ部屋になった。
お互いにあらためて自己紹介をしてから、雑談へと変わっていった。
「この会社に入れて、ホンマ幸せや」
兵庫県出身の人だった。
「そうそう、何せ日本一の各メーカーですからね」
東京の方が相槌を打つように続く。
私は押し黙ってしまった。
私は給料が一番高いから志望したのだ。
大卒の方々の高揚感とは裏腹に、19歳を前にした私は
不純そのものな存在だと思えてしかたなかった。

夕飯は一同に畳敷きの大広間に集められ、御膳がずらりと並べられている。
代表者のいただきますの言葉の後、味噌汁のお椀を口に運んだ。
(ん?酸っぱい)
お椀を口から離して、汁を見ると赤みが相当強かった。
(これが赤味噌かぁ)
これ以降、お椀に口を付ける事はなかった。

にほんブログ村 犬ブログ ラブラドールへ
にほんブログ村



posted by アズキパパ at 11:28| Comment(2) | TrackBack(0) | ペット | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年08月09日

アズキと子猫の物語 ラスト


人気ブログランキングへ
お母さんは捕獲に失敗した後
2個のお椀に、ご飯とお水をそれぞれ入れて置いた。
「捕獲箱は使わないのか?」
「うん。少しの間、ご飯だけあげて警戒を解こうと思って」
ほほう、なるほどね。私も賛成。
ニャンコが来たら教えるからね。
「アズキ!ニャンコが来ても騒ぐなよ。シィ〜だからな」

その日の夕方までにはニャンコは現われなかったが、
次の日の朝にはご飯が無くなっていた。
「良かったぁ。食べてくれたんだ」
「んん?なんか変じゃねぇか?ぽつぽつと食べ残しがあるな」
「言われてみればそうだわね」
「カラスが喰ったんじゃねぇ?」
カァカァ・・・
見上げれば、電線にカラスが2羽停まっている。
「多分そうだよ。ニャンコなら綺麗に食べておくもん」

その後、カラスに食べられる事を警戒して
捕獲箱の中にご飯を入れて置いたが、
ニャンコが現われる事はなかった。
「アズキと仲良くなれそうな気がしたんだけどな」
「そうねぇ。うちで飼う覚悟は出来ていたんだけどね」
何日経ってもニャンコは現われなかった。
鈴の付いた水色と赤い首輪は用が無くなってしまった。
「何処かで誰かに飼われていたら良いけどね」
「そうだな。あの小ささで、野良で生き延びる事は厳しいよな」
「もし、野良のままだったら、ここに来ればご飯はあげるのにね」
お父さんは私と一緒に飼ってくれると覚悟を示した割には
ニャンコの話しをする度に、腕にうっすらと鳥肌が立っているのは
何故なんだろうか?
私は暑くて暑くて死にそうなんだけどなぁ。

にほんブログ村 犬ブログ ラブラドールへ
にほんブログ村



posted by アズキパパ at 10:09| Comment(2) | TrackBack(0) | ペット | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。