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「泣くな」
母ちゃん叱られたのは、この時が初めてだった。
そして、これが最後になった。
拳を硬く握り締めて、泣かないように頑張ってはみたが、
言いようのない悲しさや悔しさがこみ上げてくる。
一度、声を上げて泣いてしまったら、後から後から
涙が溢れてくる。
21歳の男が、人目もはばからず声を上げて泣いていいものか。
その時は何も考えられず、ただ悲しかった。
親父は肩を落とし、うな垂れているだけだった。
親父は、母ちゃんの余命を告げられてから、仕事を休んで
最後の20日間を二人で過ごした。
息子から見て、特別に仲良しな夫婦には思えなかったけど
母ちゃん、最後の20日間を夫婦2人きりで過ごせて
幸せだったかい?
納棺の時や、火葬場の釜に入る時にも大声で泣いて
自分がこんなにも母ちゃんに想いがあっただろうかと不思議だった。
多分、自分が母ちゃんにしてきた事への後悔や贖罪が
あの涙だったのかも知れない。
母ちゃん、今自分は、母ちゃんの享年をとっくに追い越してしまったよ。
最後の最後に「泣くな」って怒られてしまったけど、
あの泣き虫が岩手から嫁さんをもらって、いっぱしの親をやっているよ。
嫁さんが大きな病気をした時に、仏壇に手を合わせて何度も何度も
「母ちゃん、助けて。連れて行かないで」
ってお願いしたよね。ありがとう。
そうそう、母ちゃんが最後に足を掴んで名前を呼んだあなたの初孫は
保育士になって、悩みながらも何とか頑張っているよ。
母ちゃんにとっての自慢の息子からの長い手紙はここで終わります。
いつか自分もそっちに行くけど、もう暫く待ってて。
あの世ってものがあるか判らないけど、母ちゃんが好きだった
ロクデナシな生き方を、笑いながら見守っていて欲しい。

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文章も上手すぎます
時々、あの世にいる父親に話しかけてる自分がいます
あの世で再会したら良く頑張ってきたな。。。って言ってもらえるように
生きていきたいと思います
素敵なブログ有り難うございます
真美ちゃんが精一杯頑張っていることを
私は知っています。
きっと、お父さんも納得しながら見ていますよ。
私が心配なのは、真美ちゃんが頑張りすぎる事です。
疲れてリフレッシュしたくなったら、
電車に飛び乗って『だまこ鍋』を食べにおいで。
きっと天国から、アズキパパさんのこと
優しい眼差しで見守ってくださってるでしょうね
ありがとうございます。
心の中にいつも母はいます。
とても素敵な方でしたね!
こんな温かい、愛情いっぱいの
お母様に育てられたアズキパパさんは
幸せでしたね!
お母様は今でもアズキパパさんのことを
天国から見守っていると思います。
ありがとうございます。
母は私のやることなすことを
全て受け入れてくれました。
愛情だったのか、諦めだったのか・・・
お陰で、今でもやりたいことの半分は出来ています。
母は、私の一番の支持者だったと思います。