2015年02月16日

前略 母ちゃんへ6


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 高校3年生になり、就職は親に相談することも無く
学校に来た求人の中で、一番給料の良い愛知県の会社に
決めてからの報告でしたね。
「そう決めたなら、頑張れ」
そう言いながら、私が部屋に戻った後で、父親と
言い合いをしていた事は聞こえていました。

 入社式に臨むために、八郎潟駅から電車に乗った時に
駅のホームで母ちゃんが泣きながら万歳をした姿は
今でも心に残っています。
何でも一人で決めてしまう、ロクデナシでごめんなさい。
あの時、初めて母ちゃんの悲しさ、悔しさが判った気がしました。
母ちゃんの意表をついた万歳に、こみ上げるものがあったけど
直ぐに笑顔に変わった事を、今、白状します。
それは、1年生のマネージャーが何両か後ろの車両に乗り込んでいて
電車が動いた後で隣に座ってきました。
「先輩を秋田駅まで見送ろうと思って・・・」
一度だけ二人でご飯を食べただけの、付き合っていたとは言えない
間柄だったけど、母ちゃんの万歳で湧き上がった感傷は、
一瞬で消えてしまったんです。

 その会社は入社1週間で退職をしてしまったんだけど
人事担当の方が母ちゃんに電話をした時に
「出来るならば辞めない様に説得をしてください。でも、どうしても
辞めたいと言うならば、申し訳ありませんが返してください」

と言ったんだってね。
結局辞めて、自分が情けなくて、東京で仕事を見つけようと
上野駅周辺を歩き回って『従業員募集』の張り紙がないか探したけれど、
見つからなくて家に電話をしたら母ちゃんが出たんだ。
仕事を休んで、電話を待っていたんだってね。
「俺、東京で」言い終わらない内に
「馬鹿なことを考えるな!先ず帰っておいで」
と、その時に一番欲しかった言葉を母ちゃんはくれたんだ。
ロクデナシの息子をどうか許してください。


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posted by アズキパパ at 11:03| Comment(2) | TrackBack(0) | ペット | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年02月13日

前略 母ちゃんへ5


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 高校生になった私は妙な悪知恵が付いて、
今、自分の子供にやられたら頭にきて
きっと許さない事ばかりやっていました。
小椋桂の世界に引き込まれていた私は
レコードを買い集めていました。
アルバムの価格が2500円位だった時代に
月に2枚も買っていました。
小遣いが3000円なのに2枚も買える筈がありません。
「参考書買う」「スパイクに穴開いた」
こんな嘘を疑いもせずに、小さながま口を開いては
シワシワの千円札を出してくれました。
ステレオは小さな応接間のような部屋にあったので
一人掛けのソファに沈んで聴いていると、ソファの背もたれから
顔を覗かせて「優しい声だこと。毎回この人のレコードを
買うんだな」
と笑っていました。
あの笑顔は、もしかしたら私の所業を全て見透かした笑顔では
ありませんでしたか。

 私は3年生になると、土曜日は友人の家を泊まり歩いて家には
帰ってきませんでした。
7〜8人の泊まれる友人の家をローテーションでも組むように
泊まり歩きました。
そして、その友人たちを纏めて自宅に泊めることもありました。
「明日、友達を8人泊めるから」
今、親になってみると食べ盛りの男子に8人も泊まられると
ご飯の支度や寝具の用意やら、かなり大変です。
当時は、そんなことは一つも考えたことがありませんでした。
母ちゃんは大人数の友人を引き連れて帰ってくる私が
誇らしかったと、後で言っていましたね。
小さな体で製材所で働き、家事をこなし
馬鹿息子はいい気になって8人も連れてくる。
母ちゃんにとっては自慢の息子だったかも知れないけど
今思うと、随分と自分本位のロクデナシでした。


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posted by アズキパパ at 15:57| Comment(0) | TrackBack(0) | ペット | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年02月12日

前略 母ちゃん4


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 工業高校のインテリア科に進んだ私は
恐らく自分が一番の成績で入ったと自惚れていました。
母ちゃんは「上には上がいるもんだよ」
笑っていました。
母ちゃんの予想は当たっていて、クラスには県全体で
2番目に良い成績で入学をしてきた変な奴がいました。

 高校では柔道はやらないと決めていた私は、希望した
サッカー部が休部状態だったので、チャラチャラした
高校ライフを送っていました。
それが、6月の終わり頃に母ちゃんに
「今日からラグビー部に入った。スパイクと練習着を買うから
2万円くれ」
と言ったら
「そう。頑張れ」と小さながま口から
小さく折り畳んだ1万円札を2個渡してくれました。
でも母ちゃん。母ちゃんはラグビーってどんなスポーツか知らないでしょ。
テレビでラグビーの試合を見ていたときに
タックルされてグランドに倒れる様子をしかめっ面で視て
「この人たち、何やってるの」
と聞いたから「何だべな」と惚けるしかありませんでした。

 毎日のように持ち帰る、泥と汗まみれの臭いジャージーと靴下を
母ちゃんは当たり前のように洗ってくれましたね。
私が遅い晩御飯を食べている間に洗濯をしていました。
洗濯機に放り込めばいいという優しさに欠けたジャージーを
ひたすら手洗いをしていました。
何故、練習着は全て白だったんでしょうかね。
黒かったら洗濯機に放り込めば良いだけなのに。

 2年生の秋に「キャプテンになった」と母ちゃんに言ったら
「ふ〜ん」としか言わなかったけど
その日の洗濯は鼻歌交じりでやってくれましたね。
実力でなったキャプテンではなかったから、かなり気が重い
気分でいたけど、母ちゃんの鼻歌に励まされた気分がしましたよ。


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posted by アズキパパ at 17:05| Comment(0) | TrackBack(0) | ペット | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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